アルトサックスの音色は「息の使い方」だけでなく、姿勢とストラップの長さによっても大きく変わります。
この記事では、初心者が覚えておきたい正しいフォームとネックストラップ選びのコツを解説します。疲れにくく、安定した音を出すための基本を身につけましょう。
正しい姿勢が「良い音」を作る(立奏/座奏)
サックスは「重心バランス」が音の安定性を左右します。猫背や首の角度がずれると、息の流れが乱れて音がこもりやすくなります。
ストラップで楽器の重さを支え、“肩からぶら下がっているだけ”のように自然に腕を曲げ、力を抜いた状態を保ちましょう。

立って演奏する場合(立奏)
- 足:肩幅に開き、片足を半歩前に出して安定させる
- 背筋:壁に軽く沿わせるイメージでまっすぐ
- 首:前に出さず、顎を軽く引く
- 腕・肩:肘を軽く開き、肩や手首に力を入れず“肩からぶら下がっている”感覚で構える
- ストラップ:楽器が自然に口元に届く高さに調整(首を上下に動かして合わせない)
座って演奏する場合(座奏)
- 椅子の位置:浅く腰掛け、背もたれにもたれない
- 背筋:腰から頭までが一直線になるように意識
- 両足:床にしっかり着け、やや前方に開く(重心を前へ)
- 楽器の位置:ベルが膝や太ももに当たらないよう、角度を少し外へ
- ストラップ:立奏時と同じく「楽器が自然に口に届く高さ」で調整
立っても座っても、基本は“脱力と自然な重力バランス”。
肩から吊られたような感覚で構えると、息がまっすぐ通り、音の響きが安定します。
ネックストラップの役割と基本調整
ネックストラップは、楽器の重さを支え、正しい角度を保つための重要なサポートです。 高さが合っていないと、首や肩に負担がかかり、アンブシュア(口の形)も崩れます。
| 状態 | 症状 | 対策 |
|---|---|---|
| 高すぎる | 顎が上がる、音がこもる | ストラップを少し長くする |
| 低すぎる | 前屈みになりやすい | ストラップを短く調整 |
| 適正 | マウスピースが自然に口元へ | 背筋を伸ばしたまま楽器が届く位置 |

ネックストラップ比較と選び方
ネックストラップは、首や肩の負担を軽減し、正しい姿勢を保つために欠かせないアイテムです。
素材や構造の違いで「音の安定性」「呼吸のしやすさ」「疲れにくさ」が大きく変わります。
ここでは代表的なモデルを比較し、自分に合ったタイプを選びやすく整理しました。
| モデル名 | タイプ | 特徴 | おすすめの奏者・用途 |
|---|---|---|---|
| BREATHTAKING Strap(Lithe / Premium II など) | ネック(立体構造・二層レザー) | ・独自のFront Bar構造(特許登録済)で、首への圧力を肩・胸側へ分散。 ・肩のラインに沿う立体裁断により、胸を開いて自然な呼吸を促す設計。 ・表革+裏革の二層構造で柔軟性と耐久性を両立。 ・サイズ(S/M/L)や限定カラー展開も豊富。 | 長時間演奏する人/首・肩への負担を軽減したい人/姿勢・呼吸を重視するプレイヤー |
| B.AIR BIRD STRAP | ネック(可動ジョイント構造) | ・中央のバードパーツ(可動ジョイント)が首の自然な動きをサポート。 ・軽量ナイロンベルト+滑りにくいバックパッド構造。 ・金属フック/ゲートフックなど複数タイプを展開。 ・多くのプロ・学生奏者に定評のある定番モデル。 | はじめて良いストラップに変えたい人/首の動きを自然に保ちたい人/学生〜社会人奏者 |
| BG S40SH / S41SH(Comfortシリーズ) | ネック(幅広パッドタイプ) | ・柔らかいスエード調パッドで首への圧力を分散。 ・滑りにくく安定感があり、肩の力を抜いて構えやすい。 ・メタル/スナップフック仕様や革モデルなどバリエーションが豊富。 | 首回りの痛み・滑りを防ぎたい人/吹奏楽・クラシック奏者/落ち着いた構えを求める人 |
| YAMAHA ストラップ | ネック(軽量ナイロンタイプ) | ・軽量でシンプルな設計。初期装備からの移行にも違和感が少ない。 ・金属フック/樹脂フックの仕様を選択可能。 ・入手性が高く、扱いやすいベーシックモデル。 | 初心者・学生奏者/まずは標準的な使用感を掴みたい人 |
| ハーネス型(BG / Vandoren / Rico など) | ショルダー(両肩分散タイプ) | ・両肩で楽器を支えるため、首への負担をほぼゼロに。 ・テナーやバリトンなど重量楽器にも最適。 ・立奏・長時間演奏でも姿勢が崩れにくい安定構造。 | 首・肩への負担を完全に避けたい人/大型サックス奏者/ステージ演奏が多い人 |
※販売モデルや仕様(革・金具・サイズ)により細部が異なります。
ストラップ選びの際は、「長さ調整幅」「フック形状(金属/樹脂)」「滑りにくさ」を試奏で確認するのがおすすめです。
BG ( ビージー ) / S40SH サックスストラップ ハーネス

B.AIR ( ビー・エアー ) / WBS-AW-L サックス用ウォッシャブル・バードストラップ

YANAGISAWA ( ヤナギサワ ) / 皮製ストラップ サックス用

フォーム改善のチェックポイント
姿勢・ストラップ・息の方向をセットで見直すことで、音の「芯」が安定します。
- 1: 肩に力が入っていないか?
- 2: 息がまっすぐマウスピースへ入っているか?
- 3: 長時間構えても疲れない高さか?

まとめ|正しい姿勢が“良い音”を育てる
ネックストラップの調整と姿勢は、音のクオリティを支える土台です。 自分の体格に合わせてストラップを調整し、リラックスした姿勢を意識することで、 音がスムーズに響き、長時間の演奏でも疲れにくくなります。
- 背筋を伸ばして自然体で構える
- マウスピースが自然に口へ届く高さに調整
- 定期的にフォームを鏡でチェック



