「チャンネル」と「トラック」、どちらもMIDIでよく聞く言葉ですが、 違いを聞かれると少しあいまい……という人も多いのではないでしょうか?
この記事では、MIDIチャンネルとトラックの違いを図解でスッキリ整理。 DAWでの設定例まで、実際の制作で混乱しないように解説します。
MIDIチャンネルとは?
MIDIでは、1本のケーブルの中を16チャンネルに分けて情報を送ることができます。 チャンネルは、簡単に言えば「どの楽器に演奏命令を送るか」を決める識別番号です。

たとえば:
- Ch.1 → ピアノ
- Ch.2 → ギター
- Ch.3 → ベース
というように設定すれば、同じケーブル1本で3つの楽器を同時に鳴らせます。
16チャンネル=最大16台の楽器を制御可能ということです。
MIDIトラックとは?
一方、トラックはDAW上で扱う“録音用レーン”のこと。 各トラックにはMIDIデータが記録され、どのチャンネルに送るかを指定します。

つまり、チャンネルは「宛先」、トラックは「手紙の中身」。 複数のトラックを同じチャンネルに設定すると、同じ楽器を同時に鳴らすことも可能です。
チャンネルとトラックの関係まとめ
項目 | MIDIチャンネル | MIDIトラック |
---|---|---|
役割 | 音を鳴らす「宛先」 | データを記録・送信する「レーン」 |
数 | 1〜16 | 制限なし(DAW次第) |
設定箇所 | 音源側(ハード/ソフト) | DAW側 |
接続イメージ | どの楽器に命令を送るか | どんな演奏を送るか |
例:1台のマルチティンバー音源(例:Roland Integra-7)をCh1〜16に割り当てれば、
1つのMIDIケーブルで16種類の音色を同時に鳴らすことができます。
DAW別の設定方法
Cubaseの場合
- 「MIDIトラックを追加」→「出力先」を音源に設定
- 「チャンネル番号」を指定(1〜16)
Logic Proの場合
- トラックインスペクタで「MIDIチャンネル」を選択
- 同一ソフト音源内で複数チャンネルを設定可能(例:Kontaktなど)
Studio Oneの場合
- 外部デバイスを登録→チャンネル設定
- 各トラックごとにチャンネルを選択
マルチティンバー音源の使い方
1台の音源で複数の音色を鳴らす仕組みをマルチティンバーと呼びます。 MIDIチャンネルを使い分けることで、同時に異なる楽器を演奏できます。

Kontakt・Omnisphere・Halionなどのソフト音源は、1インスタンスで複数チャンネルを処理できます。
トラブルシューティング
- 音が出ない → トラックのチャンネル番号が音源と一致しているか確認
- 複数トラックが同じ音色になる → チャンネルが重複している可能性
- レコーディングで別トラックに干渉する → 入力ポートの設定を確認
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まとめ:チャンネル=宛先、トラック=演奏内容
チャンネルは“どの楽器を鳴らすか”、トラックは“何を演奏するか”。 この違いを理解すれば、MIDIの世界が一気に整理されます。
次回は、ベロシティとエクスプレッションで演奏を人間らしくするで、 よりリアルな表現を作るためのテクニックを解説します。