「ドラムを打ち込んだけど、なんかノリがない…」 それは“リズムの正確さ”よりも“グルーヴの作り方”に原因があるかもしれません。
この記事では、MIDIドラム打ち込みの基本と自然に聴かせるコツを、 初心者でもすぐ使える形で解説します。
目次
ドラム打ち込みの基本構成を理解しよう
まず、ドラムセットをMIDIノートで表すと次のようになります。
パート | 代表的なノート番号 | 音の役割 |
---|---|---|
キック | 36 (C1) | リズムの土台 |
スネア | 38 (D1) | アクセント・拍の裏 |
ハイハット(閉) | 42 (F#1) | 細かいリズムの維持 |
ハイハット(開) | 46 (A#1) | フレーズの抜け感 |
クラッシュシンバル | 49 (C#2) | 曲の切り替え・強調 |
タム | 45〜48 | フィルインなど変化要素 |


まずはこの基本配置を覚えましょう。多くの音源(EZdrummer、Superior Drummerなど)でも共通です。
自然に聴かせるための3つのポイント
① ベロシティをパートごとに変える
- キック:一定(90〜110)で安定感を出す
- スネア:裏拍をやや強め(110〜120)に
- ハイハット:交互打ちで強弱をつける(100→80→95→75…)
→ これだけで“手打ち感”が一気に減ります。
② タイミングをずらしてグルーヴを出す
全パートを完全にクオンタイズせず、 キックはやや早め、スネアは少し遅めに配置すると自然な“揺れ”が生まれます。

ポイント: 「前ノリ(早め)」と「後ノリ(遅め)」を使い分けるだけで、ジャンル感が変わります。
ロック=前ノリ、R&B・ソウル=後ノリ。
③ フィルインを手で叩くように作る
- 強→弱→中→強 のように力の流れを意識
- スネアとタムを交互に配置(同時打ちを避ける)
- クラッシュやスプラッシュを入れると派手さUP
フィルは曲の“呼吸”部分。ベタ打ちではなく流れを作る意識を。
スウィングとシャッフルの違い
リズムタイプ | 特徴 | 使用ジャンル |
---|---|---|
スウィング | 8分音符を「タッ・タ」 | ジャズ・ブルース |
シャッフル | 3連の2つ目を抜く | ポップス・ロック |

クオンタイズ設定で「Swing 60〜65%」にするだけで簡単にノリが出ます。
DAW別:ドラム打ち込み効率化のコツ
Cubase
ドラムエディターで「グルーブクオンタイズ」機能を活用。 実際のリズムをテンプレート化して他トラックに適用できます。
Logic Pro
ステップシーケンサーを使えば視覚的にパターンを入力可能。 スウィング設定を「グルーブトラック」で統一すると安定します。
Studio One
「インパクトXT」でドラムパッド入力。 グルーブテンプレートで“人間的なズレ”を簡単に再現できます。
おすすめ音源・プラグイン
まとめ:打ち込みにも“呼吸”を
ドラムはリズムの心臓部。 1ノートごとの強弱・タイミング・抜き差しで、 打ち込みでも生演奏に負けないグルーヴを作ることができます。
次回は、プログラムチェンジとコントロールチェンジを理解で、 音色の切り替えと制御を深く学びましょう。