MIDIの世界には「プログラムチェンジ」と「コントロールチェンジ(CC)」という 2つの強力な“命令”があります。
この2つを使いこなせば、音色の切り替えも、ペダルやピッチ操作も、 すべてデータで再現可能です。
この記事では、これらの信号の違いと使い方をわかりやすく図解で説明します。
目次
プログラムチェンジとは?──音色を切り替える命令
プログラムチェンジ(Program Change)とは、 MIDI機器に「音色を変更せよ」と伝えるメッセージのことです。 たとえば「ピアノ → ストリングス」など、1台の音源内で瞬時に切り替えができます。

各音色には番号が割り当てられています。たとえば:
番号 | 音色名(GM規格) |
---|---|
001 | Acoustic Grand Piano(アコースティック・ピアノ) |
041 | Violin(バイオリン) |
049 | String Ensemble 1(ストリングス・アンサンブル1) |
065〜068 | Soprano〜Baritone Sax(サックス系) |
これらはGM(General MIDI)規格に基づくため、ハード・ソフト問わず共通して利用できます。
コントロールチェンジとは?──演奏中の“表情”を操る命令
コントロールチェンジ(Control Change)とは、 音の強さ・ペダル操作・モジュレーションなどを制御する信号です。 略して「CC」と呼ばれます。

主なCCの一覧は以下の通りです。
CC番号 | 名称 | 主な用途 |
---|---|---|
1 | モジュレーション | ビブラートの深さ |
7 | ボリューム | 全体音量 |
10 | パン | 左右バランス |
11 | エクスプレッション | 演奏の抑揚 |
64 | サステインペダル | ピアノの踏み込み |
91 | リバーブ | 残響量 |
93 | コーラス | 音の広がり感 |
覚え方:
「プログラムチェンジ=音色の選択」
「コントロールチェンジ=音色の表現」
2つの違いを整理
比較項目 | プログラムチェンジ | コントロールチェンジ |
---|---|---|
役割 | 音色の切り替え | 演奏表現の制御 |
メッセージ形式 | 音色番号(0〜127) | CC番号+値(0〜127) |
タイミング | 演奏前に設定 | 演奏中でも変更可能 |
例 | ピアノ→ギターに変更 | モジュレーションやペダル操作 |
使用頻度 | 中〜高 | 非常に高い(常時送信される) |
DAWでの使い方
Cubase
- 「インスペクター」からプログラムチェンジ番号を設定
- CCはピアノロール下部の「MIDIコントローラー」エリアで編集
Logic Pro
- リージョン情報内で「プログラムチェンジ」を挿入可能
- CCデータは「MIDIドロー」で描ける
Studio One
- 「オートメーションレーン」にCCデータを追加
- 音源プラグイン内で直接プログラムチェンジも可能
応用:ライブで音色を切り替える方法
ライブ演奏では、フットペダルや外部コントローラーからプログラムチェンジを送信して、 曲ごとに音色を瞬時に切り替えることができます。

🎛 おすすめ機材:
・Roland FC-300(MIDIフットコントローラー)
・Morningstar MC6(高機能MIDIスイッチャー)
おすすめツール・リソース
iConnectivity mioXM(MIDIルーティング管理)
まとめ:MIDIを“操る側”にまわろう
プログラムチェンジで「音色」を、コントロールチェンジで「感情」を操る。 この2つを理解すれば、打ち込みもライブも思い通りに表現できます。
次回は、外部MIDI音源とDAWの同期・録音方法で、 ハード機材を活かす実践的な接続を学びましょう。