「同じコード進行ばかりでマンネリ…」
そんなときに使えるテクニックが代理コード(Substitute Chord)。
わずか1つ置き換えるだけで、曲がグッと洗練された印象になります。
この記事では、代理コードの仕組みと使い方を図解で解説します。
代理コードとは?
代理コードとは、同じ役割(機能)を持つコードを入れ替える技法です。
「トニック」「サブドミナント」「ドミナント」など、コードには感情的な“役割”があります。
この機能が共通していれば、別のコードでも自然に響きます。

つまり、代理コードとは「別の道から同じ目的地に行く」ようなもの。
この発想を覚えると、作曲の自由度が一気に広がります。
3つの機能別・代表的な代理コード
機能 | 代表コード | 代理コード | 印象 |
---|---|---|---|
T(トニック) | C, Am | Em, Fmaj7 | 柔らかく落ち着いた響き |
S(サブドミナント) | F, Dm | Dm7, Bb | 哀愁や奥行きを出す |
D(ドミナント) | G, Bdim | E7, G7/B | 緊張感を強める |
ポイントは「代理コード=似た機能を持つコード」。
完全一致ではなく、感情の流れを保ちながら変化を与えるのがコツです。
実際のコード進行で試してみよう
王道進行(C → G → Am → F)を例に、代理コードを使うと次のように変化します。
タイプ | コード進行 | 印象 |
---|---|---|
通常 | C → G → Am → F | 王道・明るい |
代理コード使用 | C → E7 → Am → Fmaj7 | 少し大人っぽく・ジャズ風 |

E7 は Am(Aマイナー)の属七(V7) です。
つまり、「E7 → Am」は「G7 → C」と同じ“ドミナント・モーション”を持ちます。
- 通常のCメジャーでは、Emがダイアトニック上のⅢmですが、
それを**E7(Emの代理・セカンダリードミナント)**に置き換えることで、
一時的にAm(トニック代理)へ強く引き寄せることができます。
「C → E7 → Am」= トニック → 代理ドミナント → 代理トニック
よく使われる3種類の代理コードテクニック
- トニック代理(T→T’)
Cの代わりにAm(平行調)を使う。明るさ→穏やかさへ。
👉C → G → Am → F
→Am → G → F → G
- ドミナント代理(D→D♭7)
半音下からアプローチして、ジャズ風に。
👉C → G7
→C → D♭7
- サブドミナントマイナー(IVm)
Fの代わりにFmを使う。切ないコード変化で名曲感。
👉C → Am → Fm → G
代理コードを使うときの注意点
- 使いすぎると原曲の印象がぼやける
- 1〜2箇所に留めると効果的
- メロディと不協和しないかを耳で確認する
代理コードは“スパイス”。主役ではなく、曲の個性を引き立てる存在です。
DAWで代理コードを探す
最近のプラグインでは、代理コードを自動提案してくれるものもあります。 音を聴きながら試すと、理論がより実感できます。
ABILITYやCubaseといったDAWのコードトラック機能を使えば、マウス操作だけで音を確認できます。
おすすめツール:Scaler 3
Scaler 3 は、モード、分数コード、代理コード、テンションコード、MIDI出力機能などを統合した最新バージョンプラグインです。 コード進行の設計から表現の演出まで、一手で対応できるよう拡張されています。
なお、既に Scaler 2 を所有している方は、アップグレード割引 が提供されている場合がありますので、公式サイトをチェックしてみてください。



まとめ:代理コードは“感情のニュアンス”を操るツール
代理コードを理解すると、ただのコード進行が「物語」になります。
感情の起伏を、音で演出できるようになるのです。
シンプルな進行も、ほんの少しの置き換えで新しい世界に変わります。