「同じ楽器なのに、あの人はどうしてあんな音が出るの?」――答えのひとつがマウスピースです。素材や形状の違いで、音色・レスポンス・吹き心地は驚くほど変わります。
本記事では、初心者でも失敗しない選び方と、ジャンル別のおすすめモデルを図解的に整理。あなたの“理想の音”へ最短で近づけます。
マウスピースの基礎知識|音が変わる4要素
- 素材: ハードラバー/レジン(柔らかい・温かい音)/メタル(明るく抜ける音)
- チップオープニング: 先端の開き。小さめ=コントロール容易/大きめ=パワーと表現幅
- チェンバー(空洞): 大きい=太くまろやか/小さい=明るく締まる
- バッフル: 高い=鋭く明るい/低い=ダークで落ち着き

初心者の失敗を防ぐ選び方 3箇条
- 吹きやすさ優先: 小さめの開き+素直な形状が安心
- リードは柔らかめから: 2〜2½でスタート → 慣れたら段階的に調整
- ジャンルを決める: クラシック寄りか、ジャズ/ポップス寄りかで最適解が変わる
用途別おすすめモデル(定番から始める)
まずは扱いやすい定番からスタートし、音色の方向性(明るい/柔らかい/抜けの良さ)で拡張していくのがおすすめです。
| 用途・ジャンル | モデル | 特徴(初心者向けポイント) |
|---|---|---|
| 基礎作り(入門の定番) | YAMAHA 4C | コントロールしやすく、音程も安定。はじめの1本に最適。 |
| クラシック/吹奏楽 | Selmer S80 C★ | 落ち着いた音色と安定感。合奏でまとまりやすい。 |
| 汎用ジャズ/ポップ(王道) | Meyer 5M / Vandoren V16 A5〜A6 | 明るく反応が良い。ソロも合奏もこなせる“定番の定番”。 |
| ポップ/フュージョン(明るく抜ける) | Vandoren Jumbo Java A45 | パワフルで抜けが良いサウンド。エレキ編成にも埋もれにくい。 |
| モダンジャズ/多用途アップグレード | D’Addario Select Jazz D6M | ニュアンスが付けやすく、音の輪郭もクリア。次の一歩に。 |
※ Otto Link Super Tone Master(アルト)は国内新品の流通が非常に限られるため、本リストでは Vandoren Jumbo Java A45 を推奨モデルとして掲載しています。
YAMAHA ( ヤマハ ) / AS-4C アルトサクソフォン用スタンダードマウスピース4C

Henri SELMER Paris ( セルマー・パリ ) / S80C* アルトサックスマウスピース

MEYER ( メイヤー ) / 5MM アルトサックスマウスピース

Vandoren ( バンドーレン ) / V16 A5 S+ アルトサックスマウスピース

Vandoren ( バンドーレン ) / A45 ブルージャンボJAVA アルトサックス

D’Addario Woodwinds ( ダダリオウッドウインズ ) / MJS-D6M アルトサックスマウスピース セレクトジャズ

ティップオープニングとリード硬さの目安
| ティップオープニング(開き) | 吹奏感 | おすすめリード硬さ(番手目安) | 代表的なモデル例 |
|---|---|---|---|
| 狭い(クローズ) | 息が入りやすく、音程が安定。初心者でも扱いやすい。 | 2〜3番(やや柔らかめ) | YAMAHA 4C / Selmer S80 C★ |
| 中くらい(ミディアム) | 音の反応と安定感のバランスが良く、多くの奏者に人気。 | 2½〜3½番 | Meyer 5M / Vandoren V16 A5 |
| やや広い(ミディアムオープン) | 豊かな響きと音量が得やすい。慣れると表現力が広がる。 | 2〜2½番(柔らかめ) | Vandoren Jumbo Java A45 / D’Addario D6M |
| 広い(オープン) | 息の量が多く必要。上級者向けで表現力は非常に高い。 | 2〜2½番(柔らかめ) | プロ向けメタル系モデルなど |
※ティップオープニングの数値はメーカーやモデルによって異なります。ここでは「吹奏感とリード硬さの関係」を目安として参考にしてください。測値や表示基準が異なります。まずは“自分が扱いやすい範囲”から試すことをおすすめします。よって若干の差があります。
まとめ|“理想の音”から逆算して選ぼう
マウスピースは、あなたの音色設計そのもの。まず欲しい音の方向性(ダーク/明るい、太い/シャープ)を決め、素材×開き×形状で絞り込みましょう。
最初の1本はYAMAHA 4C / Selmer S80 C★。そこからジャンルに合わせてMeyer / V16 / D’Addario Select Jazz / Otto Linkなどに進むのが王道です。
